理由なんてきっと

理由なんてきっと

桐山照史くんに転がされるblog

今日もヴェローナは

 

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※観劇レポではありませんがネタバレを含みます

 

 

ジャニーズWEST桐山照史くん主演舞台『泣くロミオと怒るジュリエット』*1を観劇してから、気づけば1ヶ月以上も経ってる。

少し時間を置いて記憶を整理してから…なんて思ってる間に世界が変わってしまった。

悲しいことは増え続け、楽しいことは消え続ける、心がどんどん暗雲に覆われてゆく日々。

"こんな世界、地獄だ"

 

 

2020年2月21日、前日の全力ディズニーシーの疲れを栄養ドリンクでもみ消して、私は友達とシアターコクーンへ向かった。*2

めちゃめちゃ近い、でも舞台全体も見渡せる、感謝カンゲキ観劇席。

いろんな覚悟を決め、私は大人しく物語を見守ることにした。

 

やっぱり悲劇だった、しかも事前に予想してた種類のしんどさ。

誰もが人知れず大変な思いをしてるのが世の常だというのはわかる、わかるけど、あまりにも過酷すぎて泣くことしかできなかった。

でもそんな舞台上の辛すぎて苦しすぎる世界と、私が生きる楽しくて幸せな現実には、正直、天と地ほどの差を感じるしかなかった。

だから観劇後、私はヴェローナとそこに生きる彼らをどうやったら救えるか、そんな目線でこの悲劇を振り返ってばかりいた。

 

すぐ乱闘騒ぎを起こす人も、私情で贔屓する警察も、非人道的行いで家族に見限られた人も、人の命を奪った悲しみを抱く人も、最愛の相手を嫉妬で死に追いやる人も、配偶者の死に絶望して自ら命を絶つ人も、無我夢中で殺し合う人も、私の日常には全く登場してこない。

もしも自分が戦後の関西、ヴェローナという鉛色の工場街に飛び込んだら、一体どうなるんだろう。

 

 

ロミオにとっても、私にとっても、ジュリエットは"希望"だった。

ジュリエットは、お母さんからもらった"希望を信じる心"を大事に生きていたし、それが決め手となってロミオとの愛も築いた。

でも最後、ロミオを失った彼女は、健気に希望を探しているつもりで実は絶望を嘆き続けていて、その結果、深い悲しみの底に沈んでそのままこの世を去ってしまった。

とても、とてもとてもとてもつらかった。

ロミオにとっての、私にとっての"希望"がついに消えてしまった。

前向きに生きようとしていた女性が迷わず死を選んだとき、それは私がもっとも涙した瞬間で、あとから考えれば考えるほど、自分もあの世界ではまともに幸せになんてなれない、誰も救えやしない、そう思わざるを得ないくらいの衝撃とダメージを持つ場面だった。

 

 

"憎しみ"と"諦め"が渦巻くヴェローナは、時代においても、場所においても、私から遠く掛け離れた街でしかない。

だけど、"憎しみ"と"諦め"は、果たして私から遠く掛け離れているのだろうか。

 

私が生きる今日は、突如現れたコロナウイルスによって、幸せを感じづらい日々になった。

みんなの"楽しみ"が"悲しみ"に、"希望"が"絶望"に変わり果ててゆく。

 

私が愛する人の主演舞台、まさしく今触れている『泣くロミオと怒るジュリエット』も道半ばで幕を閉じてしまった。

主催者側から最初に公演中止を発表されたときの私は、皆の落ち込みを少しでも軽くしようと無理に明るく振る舞っていたけれど、愛する人が綴った文章で事実を読んだ瞬間、声を出して泣きじゃくり、ズタボロになって、ついに私は闇落ち*3した。

政府からのイベント自粛要請によって一律に涙を飲んだ人がたくさんいるのに愛する人も周りの人たちもこんなに悲しんでいるのに、なんで商業施設は普段と変わりなく大勢の人で溢れてるんだよ、なんで幕は降ろされたのにシャッターは降りないんだよ、お偉方の会食もまあまあ人集まってるじゃんふざけんな、どうせ娯楽は不要不急なんですよねふざけんな、感染防止のために人生かけて決断した人たちがたくさんいるのに感染リスクにさらされながらいつも通り店頭に立ってる自分ってなんなの……………etc.

 

深い悲しみは、あっという間に

強い憎しみへと変わり得る。

 

"憎しみ"はいつだって人の心に潜んでいるのだと、私は初めて思い知らされた。

 

その後、逆にもうイベントが開催されないことが当たり前の世界になって、私はさらなる悲しみに対しての予防線を張るため、"諦め"を心に宿すようになった。

期待しないでおこう、どうせ中止に決まってる、信じた分だけダメージが大きくなるならもう信じたくない…………etc.

 

深い悲しみを感じないための手段、

そのひとつが"諦め"なんだ。

 

悲しみがもたらす弊害を生まないことが幸せに繋がる、そう信じて人は"希望"を諦めるのだと、ようやく私は理解した。

 

"憎しみ"も"諦め"も、決して私から掛け離れたものではない。

ヴェローナは今日も私の心の中にあるし、彼らと私には微塵の差もなかった。

『泣くロミオと怒るジュリエット』を観た私がずっと求めていた答え、それを教えてくれたのは皮肉なことにコロナウイルスだった。

 

私がヴェローナの幸せのためにできること、それは私自身が"憎しみ"と"諦め"に勝ち続けることなのかもしれない。

生きている限り、深い悲しみに襲われる出来事は数え切れないほど起こるはず。

でもそのときに私は、彼らのことを思い出して、彼らの仇をとって、彼らの分まで幸せになってあげたい。

 

憎んで決別すべきは"憎しみ"だ。

諦めて決別すべきは"諦め"だ。

 

だから私はこれから、もう、誰も憎まない、コロナにさえも感謝してやる。

そして私はこれから、もう、何も諦めない、コロナなんか相手にしてやるもんか。

 

悲しみを発散するための娯楽が足りないように感じた戦後の工場街でさえ、ダンスホールや映画館はあったし、声があれば歌える、身体があれば踊れる、手があれば絵も描けるし、口があれば妄言だって楽しめるんだ。

だから娯楽に溢れる今の現実世界から、どれだけイベントが消えようと、私たちの楽しみが奪われることなんて全くもってあり得ないんだ。

 

それに私たちには、芸術が一切禁止された世界すらも再び色彩豊かな感動で包み込んでゆく、そんな最高最強の7人がついてるじゃないか。*4

「俺らは諦めへんで!!!!!!!」*5と強く生きて皆に希望を与えてくれる、無敵の7人がいるじゃないか。

 

 

悲しいことが増え続けるなら、楽しいことも増やし続ければいい。

心が暗雲に覆われたって、その上に必ず太陽はある。

"こんな世界、天国だ"

 

 

 

 

 

 

 

P.S. ヴェローナの貴方と『』に捧ぐ。


星野源 – 私 [Official Video]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:『泣くロミオと怒るジュリエット』

◆東京公演HP

https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/20_romeo-juliet/

◆大阪公演HP

https://kyodo-osaka.co.jp/search/detail/622

 

*2:詳しい旅行記はこちら
coh-extacy.hatenablog.com

 

*3:「闇落ち」といえばドラマ『知らなくていいコト』の闇落ちキャラ野中春樹役を演じたジャニーズWEST重岡大毅は最高でしたよね!他の作品では全く違うキャラなのでぜひご覧あれ、そしてハマれ。

 


『溺れるナイフ』本予告

 


愛されるべきは、外見か、中身か―『宇宙を駆けるよだか』予告編

 

*4:ジャニーズWEST 6th Album「W trouble」https://www.jehp.jp/wtrouble/

 

*5:FCサイトより。https://www.fc-member.johnnys-net.jp/information/view/id/148