理由なんてきっと

理由なんてきっと

桐山照史くんに転がされるblog

泣くのはロミオだけでいい

ついに明日から、ジャニーズWEST桐山照史くん主演舞台『泣くロミオと怒るジュリエット』*1が始まります。

今回は言わずと知れたシェイクスピアの名作『ロミオとジュリエット』が元になってる舞台だから、来たる1回きりの観劇に対する予習としてその原作*2、映画*3、舞台*4に目を通しておきました。

それから同じく今回の舞台で作品設定に大きく反映されている『ウエスト・サイド物語*5と、脚本・演出を担当する鄭義信さん作の話題映画『焼肉ドラゴン』*6も鑑賞し、できる限りで頭と心を観劇当日に向けて備えてきました。

 

でも、だめです。

肝心の覚悟が全くできてません。*7

 

というのも、今回の舞台はもう、観る前からたまらなくつらいのです、辛いのです。

傷口に塩の沁みるしんどさ、でも泣く暇を与えてはくれない悲しすぎる現実、そんな"塩味"と"渇き"が私たちの繊細な部分に癒えぬ痕を刻んでしまう気がするのです。

 

もう上の文を書いただけでまた胸が締めつけられてしまったので、個人的につらい(辛い)ポイントをアウトプットさせてください。

 

①設定

戦後5年の関西、港を擁する鉛色の工場街ヴェローナ。今の時代や自分の境遇に悩みや閉塞感を感じながら過ごす若者たち。顔を合わせる度に揉め事を起こす2つの愚連隊、その片方は戦争中に日本へ連れて来られ帰国できずにいる韓国人青年の集まり。

……いや、もうつらい。伝わりますか、この塩辛さ。本来若者たちには可能性と希望に満ち溢れた姿でいてほしい、それなのに彼らは「一寸先は闇」が「一生先も闇」にも思えるような日々を送ってる。不満や不安が自分自身を傷付けてしまわぬよう、ナイフの矛先を余所へ向けることで自我を保つ人々。そんな悲しい中に、あろうことか私の自担がいる世界線。ああ、目眩がします。

 

鄭義信さんの世界観と表現

あくまで『焼肉ドラゴン』を観ただけの印象だけど、個人的には相当"エグかった"です。戦争によって意図せず日本に在住することとなった人たち。彼らは間違いなく一生懸命に日々を過ごしてるのに、なぜか歯車が噛み合わず悲しい出来事やつらい思いを重ねてしまう。不満も怒りも飲み込んで生きるしかないと腹を括っても、それさえ通用しない厳しすぎる現実。逆に感情を吐き出せば、瞬く間に壊れてしまう平穏。私は「気楽に生きる」という言葉が存在しない息苦しさをこの作品から突き付けられ、正直心が参ってしまいました。

たとえ架空の作品だとわかっていても、"希望的明日"を信じて生きる人たちの報われない"今日"を目の当たりにするのはとてもつらい。しかも『焼肉ドラゴン』は辛うじて笑顔で終わるのに対し、今回の舞台の元となるロミジュリとウエストサイドはどちらも死で終わるアンハッピーエンド。ましてや、舞台ではおそらく、自担の死が、最後に待ってる……つらい嫌だ無理です。*8

ただし唯一の救いとして、『焼肉ドラゴン』の会話劇の中には日常的なユーモアも含まれてて、思わずクスッと笑った場面もあります。それが作品全体を照らしたとまでは言えないけど、塩辛い中に一瞬甘みを感じるような癒やし要素ではありました。

今回の舞台でも鄭義信さんがテンポの良い関西弁を生かした笑えるシーンを用意してくれてるようで、個人的にそれが本当に救いだと感じてます。なのでその場面が来たときは、笑いながらしっかり息継ぎをして、暗い水底に引き込まれすぎないように顔晴りたいです。

 

③自担の役どころ

今回の舞台がロミジュリやウエストサイドのストーリーに忠実であるなら、自担は役中で人を殺し、そして自分を死に追いやります。愚連隊から足を洗って真面目に働いてたのに、"希望"とも呼べる最愛の人とついに巡り会えたのに、それら全てを一瞬で闇へ葬り去る、他でもない自分自身の過ちで。

復讐するということは、親友マキューシオを殺したティボルトへの憎悪が、もしかしたらその前からずっと胸の底に隠してたキャピレットや日本人への嫌悪感が、役中の自担を支配し、そして滅ぼすということです。

私が初めて生の自担を見たミュージカル『ブラッド・ブラザース』でも、彼は舞台上で人を殺し、人に殺されました。だけど私が思うにそれはある意味事故のようなもので、確固たる憎しみや殺意はそこまで感じられませんでした。

だから、私は怖いのです。

奥手で真面目な青年でありながら他人の命を自らの意志で奪う役の自担を見るのが、他人の命を奪ったことよりも自身の境遇や恋愛の行く末ばかり嘆く浅はかな役の自担を見るのが、恋人が何故この世を去ったのかを確かめることもせず無我夢中で自身の人生を終わらせる役の自担を、見てしまうのが怖い。

「幸せ」の定義が人それぞれだとしても、ロミオの人生が幸せだったと言える人はほとんどいないはず。そんな境遇を生きる世界線の自担を、私は一体どうやって心に迎え入れたらいいのでしょうか。殺人を犯し、それを省みることもなく自分のために死んだロミオの頭を撫でるには、時代を憎むか、国を憎むか、駆け落ちに関する情報の伝達を阻んだ要因を憎むしかない…憎むしか………こうやって憎しみの連鎖が生まれるのですね。。

 

よし!おわり!

つらい(辛い)ポイントのアウトプットはもうここらへんにしておきます。

 

ロミオやティボルトが死んでも、力強く生きてゆくジュリエットやソフィアがいたらいいな。もしそうじゃなくても、私がみんなの分まで幸せに生きてゆこう。

燃えるように惹かれ合い、小説の一節のような長文で愛を語り合うロミオとジュリエット、それはまるで互いが自担のヲタク同士みたいな姿でもあるから、素敵で滑稽な最高カップルを脳内Twitter稼働させて楽しんでみよう。

 

とにもかくにも、大好きな大好きな照史くんが初めて担う大事な新作主演舞台、初日から大千穐楽までキャストもスタッフも観客もみんなが絶対無事故・健康無事故で、心ゆくまで楽しんで未来へ繋げてゆけますように。

 

それでは皆様ご一緒に。

よ〜っ、パン👏!*9

 

 

 

 

 

*1:舞台『泣くロミオと怒るジュリエット』公式HP https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/20_romeo-juliet/

*2:ロミオとジュリエット』(中野好夫訳, 新潮文庫)https://www.shinchosha.co.jp/sp/book/202001/

*3:ロミオとジュリエット』(オリビア・ハッセー, レナード・ホワイティング)https://g.co/kgs/EXUWo8

『ロミオ+ジュリエット』https://g.co/kgs/tccLo4

*4:ロミオとジュリエット 蜷川幸雄×藤原竜也×鈴木杏https://www.ponycanyon.co.jp/visual/PCBE000051512

*5:ウエスト・サイド物語https://g.co/kgs/5qpSER

*6:『焼肉ドラゴン』https://g.co/kgs/H6CoiQ

*7:ぴえん(б∀б)

*8:ぴえん(б∀б)

*9:ただただ勝手に思考し妄想し杞憂するヲタクの戯言に付き合っていただき、ありがとうございました!観劇を終えたらまたそのときは感想を綴らせてください!