ドキュメンタリー番組『WESTV!』
誰にも見せない泪があった
人知れず流した泪があった*1
『ジャニーズWEST LIVE TOUR 2019 WESTV!』は私にとって、まさに夢の舞台だった。
去年の秋、実家の家計からヘルプの声が上がり、なけなしの私の給料から結構な割合のお金を実家に入れることになった。
それまで自由に使えていたお金が手元から消える事実に、私は行き場のない不安と悲しさを抱えた。
そんな中、届いた一通のメール。
もちろんそれが
『ジャニーズWEST LIVE TOUR 2019 WESTV!』の開催案内だった。
嬉しさはあるものの、いつものように手放しでは喜べなかった。
1公演7000円というお金を私は私のために使っていいのだろうか…そもそもそうやって使えるほどのお金は手元にあるのだろうか…浮かれた気持ちとは程遠い現実的思考がただただ頭の中を巡る。
でもやっぱりコンサートへの参戦を諦めるという結論には至るわけもなく、私はついに覚悟を決めて奮い立った。
今の私の最大の悩みが「金」であって、あえてそのときにツアー発表をしてくるというのなら、私はジャニーズWESTに会うために自身の壁をぶち破らなければならない…破ったるわ!!!
— こー@So happy (@genichi505) 2018年10月23日
早速両親に「私の生きがい、ジャニーズWESTのコンサートが決まったので、そのお金だけは確保させてくださいお願いします」と素直な思いを伝えた。
するとすぐに、快く承諾してくれた父と母。
本当はそんな余裕なんてないはずなのに、娘が大事にするものを一緒に守る両親の姿には、昔から本当に感謝が尽きない。
友達と参戦日程を調整し、私は無事にチケットの申し込みを完了させた。
コンサートの当落発表、それは18時頃に届くのが常だった。
それなのに、今回はなぜか15時台だった。
仕事での10分休にふとスマホを見ると、連番で参戦予定の友達から落選の報告が来ていた。
発表の早さに対する驚きと、落選結果への落ち込みで大きく動揺する私の心。
そんな心境をどうにかしたくて、私は救いを求める思いで自分のメールボックスをついに開いてしまった。
「抽選の結果、誠に残念ながら、お申込みいただいた公演のチケットをお取りすることができませんでした。」
目に映り、そして頭の中で反芻する残念な文章。
文面を理解する能力が途端に欠如する中で、『残念』という二文字だけがかろうじて私に現実を伝える。
この10分という短い間で、私は心を失くした。
当落発表なんて仕事の合間に見るべきではなかった…そう後悔しながらもデスクに戻り、進めていたシフト作成作業を再開した。
けれど当然集中できるわけがなく、よくわからないシフトを作っては消し、ただただ虚無な時間を過ごす。
何も知らずに楽しい話題を振ってくれる同僚に救われながらなんとか仕事は終えたものの、帰り道で1人になった途端また『残念』の二文字を思い出し、そして私は辛い闇に落ちていった。
落選メールを見ても最初なんの感情も湧いてこなかったのに休憩終わりから徐々に現実を受け止め始めて耳が聞こえなくなるかと思った…つらいっす
— こー@So happy (@genichi505) 2018年11月16日
WESTivalで前髪あり髭ありマリウスモード照史くんを見れただけで宇宙一幸せだったのかねぇ
— こー@So happy (@genichi505) 2018年11月16日
今回、私はきっと自惚れていた。
必死に頑張っていれば、毎日を誠実に生きていれば、そのご褒美としてコンサートのチケットが当選する…そう信じて疑わなかった。
だからコンサートに行けない悲しみだけでなく、自分の努力が裏切られた苦しみも感じてしまった。
どうして…どうして…勝手に契約を交わした神様のような何かに対する不満を嘆きながら私は、ずっと、泣いた。*2
涙と一緒に負の感情を流し続ける中で、私は少しずつ落選結果を受け止めていった。
それから今回の結果が自分の人生に対してどういう意味を持っているのか…本当に努力は裏切られたのか…それらについて考え始めた。
私にとって、ジャニーズWESTは間違いなく『生きがい』だ。
というのも、最近は少しマシになったけれど、私にとって命や生活を毎日絶やさず繋いでいくということ自体が結構苦痛だったりする。
別に天涯孤独だとか、誰かから酷い仕打ちを受けているとか、そんなことは微塵もないしむしろ私は人間関係にとても恵まれていると思う。
でもやっぱり『生きる』という行為自体がなぜかどうしても面倒で仕方ない。
誰にも知られず誰も悲しませずにこの世から存在を消せるのなら静かに消え去ってゆきたい…ふとした瞬間にそんな思いを抱くのはもはや私にとって日常茶飯事。
ただし実際には、ありがたいことに私の死を悲しんでくれそうな大切な人たちが周りにはたくさんいて、その人たちを私のせいで無駄に悲しませるようなことはしたくないから、だから私は生きる選択をし続けているし、むしろ大切な人たちに生かし続けてもらっている。
そんな私の人生は、私にとってある意味『責務』のようで、決して能動的に成せるものではない。
けれど、ジャニーズWESTは、彼らは私のその『責務』を『欲求』に変化させた。
「生き続けなければいけない」という『責務』が、「ジャニーズWESTの○○を楽しむためにそれまでは生きていたい」という『欲求』になった。
むしろ、『責務』や『欲求』のことなど考える暇もないほど、毎日をひたすら楽しく過ごすことのできる魔法を永遠にかけてくれた。
だからジャニーズWESTは、私にとって間違いなく『生きがい』だ。
けれど、ジャニーズWESTは私にとって時に『贅沢』にもなり得るということを私はずっと前から知っていた。
ジャニーズWEST自体は私が生きるために必要不可欠な存在でありつつも、彼らの様々な活動には単に私の物欲や一時的衝動を満たす側面も大いに含まれている。
今回の落選結果は、もしかするとその側面に対して目を向けるためであるのかもしれない…ふとそう思いついた。
悲しい気づきではあったけれど、自己の貪欲さを顧みることが今の私には必要なんだと悟り、今回のツアーへの参戦意欲を次第に鎮めていくことにした。
それなのに。
母より pic.twitter.com/3j2W2CaEzM
— こー@So happy (@genichi505) 2018年11月17日
母が私の参戦を祈っていた。
思わず涙し、そして母の想いを受け止めた途端、1人のフォロワーさんから同行できる可能性を伝えるLINEが来た。
他のフォロワーさんも、絶対に行けるようにと力強い言葉をくれた。
みんなが、私の悲しい結論を必死に否定してくれていた。
周りの人たちが私の参戦を諦めていないのだから当の本人が自ら諦めている場合ではない…そう思い始めた私はみんなからの励ましを希望に変えて、やはりこのコンサートは自分にとっての『生きがい』なのだと信じてまた進むことにした。
それからはとにかく復活当選に賭けた。
参戦メンバーは4人、簡単に譲り手や同行者が見つかる枚数ではない。
しかも私たちが参戦しようとしている地元は、あろうことかツアーファイナルの地である北海道。
ツアーの締めくくりを目に焼き付けるために全国からファンが駆けつける北海道公演は、2年連続のファイナルとあって去年以上に倍率や需要が高いに決まっている。
復活当選のためにできることといえば、徳を積むこと*3、祈ること、それから高額転売の通報だった。
特に3つ目はとても現実的な手段で、定価より高い金額で違法に販売されているチケットをジャニーズ事務所に通報すると、うまくいけばそのチケットが事務所側へ回収されてそのままプレイガイドや復活当選に回されるらしい。
実際どれだけ有効なのかは定かではなかったけれど、他に手段を持たない私たちはその期間、何かに取り憑かれたようにひたすら高額転売を通報し続けた。
そうして気づけば11月末。
復活当選メールが届く正確な日程など知る由もなく、ただなんとなくTwitterで検索してはそわそわ過ごしていた。
11月30日、トラウマになりかけていた15時台という時間に、以前落選を報告してきた友達からLINEが来た。
「23日復活当選した!!」
復活当選の実現に対する驚きと、コンサートへ行ける喜びで大きく動揺する私の心。
考える間もなく、気づけば私は声を出して泣いていた。
とてつもない安堵感と高揚感、それらに包まれながら参戦予定のメンバーでやりとりをしていると、さらに別の友達からLINEが来た。
24日のオーラス公演に復活当選した、という内容だった。
そんな奇跡のようなことが起こるのかとびっくりしていると、友達は私にぜひ一緒に行こうと声をかけてくれた。
私は、一体どれだけの人に命を繫いでもらっているのだろう。
消えたいなんて、決して思える立場ではない。
生かされているこの命、人生を、全力で謳歌しなければみんなに合わせる顔がない。
やっと掴んだチケットと、全ての人への感謝を胸に、私の『WESTV!』、そして私の人生はついに明るい針を進め始めた。
ツアーに参戦できることが確定した後は、とにかく薔薇色の日々だった。
…と言いたいけれど、本当はまあまあ地獄だった。
家族のトラブルでやるせない涙を流したり、家を飛び出したり、そうしているうちに仕事も立て込んできて、心身が疲弊し続けた。
体調も安定しなくなり、常にギリギリの状態で日々を持続させていた。
そうしているうちに、なんとか迎えた3月。
あまりにも荒んだ自身に嫌気がさし、本当にもうすぐジャニーズWESTに会うのかと、実感も湧かずむしろ億劫にすら感じてしまう自分もいた。
でも、『生きがい』というのはこんなときでも確実に自分を幸せにしてくれる。
来週の参戦メンバーでファンサ団扇作成会@我が家。午前集合の資材調達に始まって昼食を取りながらLIVE映像をただただ堪能していたかと思えば、次第に作業への集中力が高まって各々黙々と目の前の団扇作成に勤しむ自分達の姿に思わずヲタクの凄みを感じて心にじわじわきた。#WESTV#昼食のタイ弁当美味 pic.twitter.com/Ak21ERmHBm
— こー@So happy (@genichi505) 2019年3月17日
LIVE映像見ながらみんなで団扇作って、ふと思いついた買い物タイムで参戦服問題も解決して(しかも素敵な服と運命的出会い)、そのままふらっと寄った元バイト先で転職活動の計画材料を得られて、本当に私はどこまでも恵まれているしツイているし幸せに導かれている。ジャニヲタ万歳
— こー@So happy (@genichi505) 2019年3月17日
今日が無事幸せに終わりそうでよかった。最近身体も心もズタボロで生きるのが億劫だったけど、今日や一週間後を楽しく充実させたい想いが自分を暗い底から引き上げてくれたと言っても過言じゃない。いろんな人や物事が間違いなく自分の幸せの要因になってる。これぞしあわせ。
— こー@So happy (@genichi505) 2019年3月17日
大好きなジャスミン仲間たちのおかげで心のガソリンが満タンになり、服も団扇も髪型も全ての準備が整って、コンサート前の出勤日数も片手で数えられるだけ。
もう少しでジャニーズWESTに会えると思うと無限に溢れ出す高揚感、そんなスーパースターを得た無敵状態の私はそれまでの一切のつらさを忘れて、とにかく当日まで意気揚々と突き進んでいった。
コンサート前日、仕事が終わるまではあえてジャニーズWESTを一旦忘れて過ごす。
清々しい姿でジャニーズWESTに会えるよう、抱えている仕事をひとつひとつ全力でやりきった。
定時を迎え、ついに自分の気持ちを解放…させようとしたけれど、同僚の1人の誕生日プレゼントを買うという重要なミッションが残っていたので、別の同僚兼友達と一緒に真剣にプレゼントを選び、そのまま外食しながら久々にゆっくり語り合った。*4
楽しい気分のまま帰宅して、劇場版名探偵コナンの大好きな作品*5を姉と見ながらまた語り合って、翌日からのコンサートで会う人に配るお菓子を詰め合わせるという充実した時間。
でも、何かがおかしい。
思えば誕生日プレゼントを買い終わったあたりから、頭がクラクラしていた気がする。
いつもはあまり体温を測らない私が、なぜか嫌な予感がして自ら体温計を脇に挟んだ。
37.5度、微熱。
低体温で具合悪くなることの多い自分が発熱するという異常事態。
所詮微熱だからと大して気にかけることもなく前日の準備を淡々と済ませてベッドに入ったものの、やっぱり気になってもう一度熱を測ってみた。
38.5度。
意味がわからなかった。
寝て目が覚めればそこはジャニーズWESTに会える世界なのに、なんでよりによってこのタイミングで高熱なんて出すのか。
コンサートのために無理して頑張ってきたのに、それで体調を崩して参戦を断念するなんて本末転倒にも程がある。
誰も起きていない時間帯に、私は1人どうしようもない不安と葛藤するほかなかった。
寝るに寝られず、前向きなツイートでなんとか希望を繋ぐ。
何年ぶりかの高熱でございますが、朝が来ればケロッと治ると信じてるよーよー釣り!
— こー@So happy (@genichi505) 2019年3月22日
(θヮθ)釣り?!♡
10ヶ月越しのジャニーズWESTコンサートに向けて気合十分だったのだけど、今日までこれでもかというほど頑張ってきたからもう今日と明日はがんばんない!楽しむだけの120%(´◇`)💛
— こー@So happy (@genichi505) 2019年3月22日
それでもやっぱり心細くて、単身赴任中の父に助けを求めるLINEを送った。*6
それから水を飲むために居間へ向かうと、そこで寝ていた母が私に気づいた。
このまま治らなかったら…インフルエンザだったら…それらの押し込めていた不安を母に吐き出した途端、共有できた安堵とともに涙が込み上げてくる。
まだ外も暗い3時半頃、母と私は朝イチで病院へ向かう計画を真剣に立て、ただひたすらにコンサートへの参戦が実現することを信じながらまた眠りについた。
病院に行くため、少し早い時間に目を覚ます。
そして早速、緊張の面持ちで私は体温を計測した。
36.5度。
ん?
もう一度測ってみたけれど、やっぱり結果は同じだった。
熱が下がった〜!!ヤッタ!! pic.twitter.com/zBwhxRaptz
— こー@So happy (@genichi505) 2019年3月22日
一応予定通り朝イチで病院に行くと、疲れや季節の変わり目による扁桃腺の炎症だった。
薬を飲むと喉の腫れもすぐに引き、晴れて私はジャニーズWESTに会いに行けることになった。
そこから先は、もう楽しいことしかなかった。*7
みんなで真剣に取捨選択しながらグッズを無事に買って、あんなにも大勢の人がいるきたえーるの中でびっくりするほど空いている施設内カフェで腹ごしらえして*8、ついに時が来て入場したらそこには、夢の舞台が広がっていた。
『ジャニーズWEST LIVE TOUR 2019 WESTV!』は、本当に楽しいコンサートだった。
入場した瞬間、暗転した瞬間、本人たちが登場した瞬間、感涙してしまうかもしれないと思っていたけれどそんな暇すらないほどの幸せが全てを吹き飛ばしてくれた。
そして何より、こうしてまた今回のコンサートを振り返るとき、一度は消し去った辛い過去が私にとってかけがえのない思い出になった。
私はジャニーズWESTと共に生きている。
そしてまた、ジャニーズWESTと共に生きるためにたくさんの人たちに支えられているし、ジャニーズWESTに支えられながらたくさんの人たちのために生かしてもらっている。
相変わらず手持ちのお金は少ないけれど、これからはある意味貪欲に、なおかつ冷静にジャニーズWESTと関わっていける気がする。
自分の中に貴重な経験や判断基準が培われたことは、今後ジャニーズWESTを応援していく上でも本当に重要だと思う。
今は、大して貢献できていないしむしろ助けられっぱなしだけれども、いつか必ず、思いっきり貢献してみたい。
そしてそのときには、ジャニーズWESTだけではなく、自分を支えてくれる全ての人に恩返しがしたい。
ジャニーズWESTの夢、私の想いを叶えるため、私は今日も生きている。
*2:このとき、舞台『アマデウス』の主人公サリエーリの心情が痛いほどわかった気がする
*3:科学的根拠はないけど絶対大事
*4:そしてそのとき私も素敵なプレゼントをもらっちゃいました♡
クオリティやばし!!!作ってくれた友達まじであざまる水産🐟🐠🐡💛 pic.twitter.com/h70emuO1nj
— こー@So happy (@genichi505) 2019年3月22日
*5:スコーピオンのくだりを星座コントでやっていたジャニーズWESTさんもおそらく金曜ロードショーを観ていたらしい笑
*6:一体どう助けてもらうつもり?笑
*7:いや、ほんとはヤバイ出来事がないわけでもないけど笑
これ落としましたよ!って後ろ歩く男の人から茶色タイツ渡された…リュックにくっつけたまま駅まで歩いてきてたらしい…しぬ
— こー@So happy (@genichi505) 2019年3月23日
*8:1人につられて全員謎のディップスティックなる物を食べたけどおいしかったよ!みんな入りなよ!笑